皆さんは、グリンピースがネスレグループに対してインドネシアの森林破壊につながるパーム油を買わないように訴えたキャンペーンビデオを見たことがありますか?
ネスレが森林伐採に関与していた企業からパーム油を購入しキットカットの材料として使っていたことから、私たちがキットカットを食べることがオラウータンを殺していることに繋がると伝えた衝撃的な内容でした。
いったいパーム油とオラウータンにはどのような関係性があるのでしょうか?
・パーム油とは
パーム油は、「アブラヤシ」という植物から採れる植物油です。
植物油にはオリーブオイルやサラダ油などが含まれ、一方ラードやバターは動物由来の脂で脂肪に分類されます。
その違いは、植物油は常温で液状のものが多く、脂肪は常温で固形状のものが多いという点です。
しかし成分に動物由来の油脂に多く含まれる脂肪酸を多く含むパーム油は、常温でも固形状なのです。
・パーム油の利用法
パーム油が常温で個体である、かつ酸化や過熱に対する耐性が強いことを利用し、インスタント麺やスナック菓子の揚げ油に使われたり冷凍フライなどにも使用されます。
常温で液状の油で作った揚げ物は時間が経つと衣に油や水分が染み込みベトベトになりますが、パーム油で揚げると冷めて固まるのでサクサクの状態が続くのです。
また加工食品の材料としてチョコレートやアイスクリーム、ビスケット、カレーのルー、乳児用粉ミルクなどにも使用され、非食品だと洗剤やシャンプー、口紅、塗料、ねり歯磨きなどにも使用されています。
普段買い物をしていて「パーム油」という言葉は目にすることは少ないと思います。
それは、パーム油ではなく「植物油脂」と記載されているから。
しかし、パーム油は生産量が多く、価格も安く、使いみちも多様なことから世界で最も消費量の多い植物油脂となっています。
・パーム油の生産法
パーム油の原料となるアブラヤシはインドネシア、マレーシア、タイが生産量トップ3で、世界のパーム油の8割以上を生産しています。
これらの国ではプランテーション農業という方法でアブラヤシが栽培されています。
プランテーション農業とは、先進国の企業などが発展途上国の土地と安価な労働力を利用して、単一の農作物を大量に生産する方法です。
その広大な土地を確保するため、熱帯雨林を伐採し焼き払われた結果、オラウータンやゾウなど野生動物のすみかが奪われています。
・熱帯雨林が伐採された結果…
すみかが奪われ自然界から出てくる野生動物は、邪魔なので殺処分したり、ペットとして売られたりします。
また、熱帯雨林で自給自足的に暮らしていた現地住民はすみかを奪われ、プランテーションで安価な労働力として働かざるをえなくなりました。
私たちが何も考えず商品を購入することで、このような問題を引き起こす側に加担することになります。
消費者として、きちんと背景を知った上で選択していきたいですね。